米緊急利下げ、景気後退への懸念払しょくできず
[ニューヨーク 22日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)の緊急利下げを受けて、世界の株式市場ではパニック売りが一服したが、緊急利下げ後も米景気後退への懸念は根強い。
FRBは22日、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を緊急に0.75%ポイント引き下げ年3.5%とすることを決めた。株式市場では投資家心理が改善、株価は安値から戻す展開となった。
ただ緊急利下げ後も、多くの市場関係者は米景気後退への警戒を解いていない。
米有力債券運用会社パシフィック・インベストメント・マネジメント(ピムコ)のビル・グロース最高投資責任者(CIO)は22日、「今や消費者主導の緩やかなリセッション局面にあり、第1および第2・四半期の国内総生産(GDP)はマイナス成長となるだろう。FRBはこれを反転させなければならない」と発言。
住宅市場が経済活動を幅広く停滞させる要因となり、米経済は恐らく昨年12月に景気後退局面に入ったとの見方を示した。
リサーチ・アフィリエーツのロバート・アーノット会長は「先の景気拡大で大量の余剰資源とそれに伴うバブルが生じた。是正には数週間以上かかる」と指摘している。
MSCI全世界株価指数によると、世界の株式市場では21日だけで9790億ドルの時価総額が吹き飛んだ。17日以降では、合計1兆1890億ドルの時価総額を失っている。
こうした投資家の不安心理は、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題に端を発している。サブプライムローンの延滞率は依然として上昇、住宅価格の下落でデフォルト率は記録的な高水準に達しており、消費者心理の冷え込みにつながっている。
信用収縮も続いている。金融機関は相次いでサブプライム関連の評価損計上を発表、世界各国の投資家に出資を仰いだ結果、資金調達が難しくなっている。
米国のローンの流通価格は22日も下落した。金融機関は2000億ドル近いローンを転売できずにバランスシートに計上しており、ローンの売却はますます困難になっている。
ローンを参照債務とするクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)100銘柄を指数化したLCDX指数は、一時92.25セントまで下落。緊急利下げ後は93.62セントに上昇した。
<利下げでは不十分>
米住宅市場の低迷は昨年、実質GDP伸び率を約1%ポイントを押し下げた。
ブラックロック<BLK.N>のボブ・ドール副会長は「利下げは必要な措置だったが、今の混乱から抜け出すには不十分だ」と指摘。
リサーチ・アフィリエーツのアーノット会長は「市場が問題の全貌を把握しているのかどうかが、重大な問題だ」と述べた。
米国では、住宅の差し押さえが相次いでいる。住宅ローン金利のリセットという問題もあり、「一部の住宅保有者は、自由に使えるお金がゼロに近いことに気づくだろう」(アーノット会長)。
同会長は、住宅の純資産価値の目減り、金融機関の巨額損失、銀行間市場の流動性不足といった問題はまだ解決されていない、との見方を示している。
債務担保証券(CDO)をめぐる問題も続いている。CDOの価値低下で評価損の計上が必要になるだけでなく、CDOの大幅な格下げを迫られた格付け会社の信用にも傷がついた。
同会長は「これは問題の一部にすぎない。問題の全貌を把握できていないことが問題だ」としている。
アーノット会長は、サブプライム問題の主犯はFRBであり、結局、FRBが問題の是正に乗り出すことが「最大のリスク」だとも語る。
「今回のFRBのパニック的な対応をみればよくわかる。FRBは、2002年から2005年初めにかけて、実質金利をマイナスにした。これが今の問題の原因だ」
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